「とりあえず、ここはまずいので。家に行きましょう」
「茜音ちゃんの家?それなら前に一回行ったことある」
私が歩き出すと、私の後ろを付いてくるように律くんも歩き出した。
こうやって今一緒に歩いているだけでも、誰かが遠くから写真を撮ってるんじゃないかと想像すると、呑気に隣に並んで歩けもしない。
どうにか他人を装うような佇まいで、早足で家に向かった。
鍵を開けて中に入り、律くんも招き入れる。
「今私の家に上げるのは、まずいかもしれないですけど。でもここ以外浮かばなかったので」
〝ありがとね〟とポツリと一言聞こえて、家に入った途端、倒れ込むように抱きしめられた。
「っ、律くん…?」
「ごめん、ちょっと…」



