食料調達はいつもこの商店街だから、目が合うとみんな話しかけてくれて、体調面まで気にかけてくれる人ばかり。
「ありがとう。今日は散歩だけだから、また来ます」
人と話すと、重たいことばかり考えなくて済む。
良い気分転換になるし、私が律くんを応援しなきゃと、原点に帰れる。
商店街のアーケードも終わりに近づいてきた頃、人気も少なくなってきて、ようやく携帯が鳴っていることに気づいた。
何度も鳴っているから、きっと電話だ。
出なきゃと急いでポケットから出して、電話の相手も見ずに出た。
「もしも、し…。何で」
私の目の前に、律くんが居た。
しかも律くんも、携帯を耳に当てている。



