正式に律くんと出かけたのはキャンプだけで、私たちの間に大きなイベントは、まだない。
芸能人でトップアイドルとなれば、こういうことは当然なのかもしれないし、イベントがないから寂しいわけでもない。
ただ、ふと会いたくなっても会えない関係は、虚しくもある。
髪の毛を靡かせる穏やかな風が、まだ少し暑い空気を拭ってくれて、風で顔に当たった髪の毛を、上を向いて首を振って退かす。
ふと、商店街のアーケードの合間から見えた、水色の空と羊雲。
足を止めて、空を見つめた。
私の好きな、羊雲。
空も、夏に見る真っ青よりも、淡くてお淑やかな水色の方が好き。
欲を言えば、夕日のオレンジ色と混ざった時のトワイライトの空が、一番好き。
時間を止めて、目に焼き付けたくなる。



