心が解けていく






「律くんには、ほどほどに仕事してくださいって、言っておいてもらえませんか?意味のない謝罪だし、気持ち込める必要はないです」





報道によって、嘘であっても多方面に迷惑をかけていることに変わりはないけど、原因は律くんじゃない。




「おう。そう言っとく。茜音ちゃんも、無理せんときや。またすぐ会えるし、気長に穏便に終われるように、見守ろうや」


「はい、そうします」


「ほな、またな」





電話を切ると、ため息が出た。


疲れたんじゃなくて、安堵のため息。




大将のおかげで少し元気になれた自分に、ほっとした。



前を向いて、希望を持って。


でも期待はしない。



期待して、期待以上のものが目の前になかった時、勝手に落ち込んでしまうから。