自宅謹慎になる前に、律くんと電話で話していた内容をふと思い出して、今伝えることにした。
「何や。律振って、俺に方向転換か?」
「今言ったら、冗談に聞こえないんで。律くんの仕事が落ち着いたら、久遠でご飯食べようって話してたんです」
「おお!いつでも来てや。まだ無理かもしれんけどな」
「そうですね…。でも律くん、久遠でご飯食べましょうって言ったら、頑張ったご褒美が大将なのは、きついって言ってました。笑ってましたけど」
〝あいつ…。戻ってきたら首絞めたる〟
と、冗談に聞こえない低いトーンが耳に響いた。
ずっと言おうと思って言えていなかった、律くんが話していた大将への愛。
久しぶりにできた明るい会話に、心が解けた。



