心が解けていく





せめて一社でも、律くんを信じる会社はないのか。





「何で…。女優さんが悪いのに、誰も女優さんを疑わないっておかしくないですか?」


「これが芸能界やとしか言えんわ」


「じゃあ律くんは、本当のことを言えば良いんですよ」


「そういうわけにもいかん。相手が悪いわ」


「あの女優さんがですか?」





大将は、芸能界に詳しいらしい。


私が半分キレていると、大将は反対に冷静に話し出した。






「あの女優さん、伝手がすごいんよ。逆らったらどうなるか、みんな知ってるから」


「でも律くんは逆らったんですね…」


「そうや。余程嫌やったんやろ。茜音ちゃんのことが大事やし、逆らってでも自分の意思を持ちたかったんと違うか」