「大将…。ごめんなさい、知らない番号だったから」
「無理もないよ。急にかけてごめんね。律から茜音ちゃんの番号聞いて、かけてみた。元気にしてる?」
「そうでしたか。昨日ぶりですから、変わらず元気ですよ」
律くんとは、連絡を取るのが難しくなるだろうとは思っていた。
でもそれを大将がカバーしてくれるとは。
「良かったわ。律のことで気落としてないかなと思ってな。芸能界は、ああいう落としあいが多いみたいやし、律もついに餌食になってしもて」
「それだけ有名人ってことなんですかね…」
「そうなんかな…。嬉しくないけどな」
大将の乾いた作り笑いが、今は苦しい。
大将も私も律くんのファンで、友達で大事な人。
傷つけられると、自分も傷つけられたように感じる。



