「律ー。飯食ってくか?」
外に漏れそうな大声量で、大将の気遣いが聞こえると口角に明るさが戻り、ゆっくりと流れていた時間がまたバタバタと動き出した。
悩んでいる律くんに、アドバイスをする。
「こういう時こそ、栄養つけないと。大将からも元気もらってください」
私は先に店を出た方が、律くんとタイミングをずらせるから好都合。
それに、大将と話している時の律くんは幸せそうで、みるみる元気になっていくから安心する。
「そうしようかな。茜音ちゃん、ありがとね」
「いえ。私は先に帰りますね」
「律ー?食べるんか?作ってまうでー」
「食べるー!もう…、うるさいな」
一気にうるさくなったけど、こうでなくっちゃ。
これぐらい騒がしくないと、塞ぎ込んでしまうから。



