「うわっ!?何、ですか」
形勢逆転。
今度は私が目を見開いた。
どうやら、私は抱きしめられているみたい。
私の手の行きどころは、分からなくて両手はバンザイの形で宙に浮いている。
「自分が動けないだけで、マネージャーに動いてもらえれば、前に進めるかもしれない」
「それは…、良かったです」
「うん。茜音ちゃんのおかげ。背中押してもらっちゃったな」
私の背中に回った手は、肩まで上がったり腰まで下がったり何度も動いていて、宙に浮いた手も疲れてきたから律くんの背中に触れてみた。
すると忙しなく動いていた手が止まり、耳元でゴソゴソと何か聞こえる。



