「藤波さんのおかげで、凹みすぎずに済んだわ。あなたのことも知れたし、今日は良い午後休を過ごせた。ありがとね」
「私の方こそ。部長に推しが居るなんて、驚きました」
「旦那と推しは別だからね?また悩み事があれば、相談に乗らせて。サポートは得意だから」
お店の混み具合もおさまってきて、それに合わせて私たちもお店を出た。
帰りの駅が同じなので、そこまで歩きながらも話が盛り上がり、部長の旦那さんの愚痴が止まらない。
愚痴と言っても、部長の口から出る愚痴は愛があるようにしか思えなくて、ただの惚気話を聞かされているだけな気もする。
「藤波さんは?彼氏の愚痴とかないの?」
「愚痴。そうですね…」
突然振られた話題に頭を捻らせるけど、律くんの欠点が見当たらない。



