心が解けていく






「へぇ…。その、部長の推しは。誰、なんですか?」


「朝からテレビでやってたの、見なかった?長谷 律よ」




こんなに身近に、ファンが居たとは思わなかった。


仕事一筋の部長だし、旦那さんも居るから、一番話が振られることはないと思っていた人物。





「藤波さん、テレビ興味ないか」


「興味はないですけど、その人は分かります」


「有名人だもんね…。これは仕事なくなるな。評判は落ちるだろうけど、私は変わらずファンで居続けるからね!」




右斜め上の天井に向かって、願い事でもするように両手を絡ませてファンを宣言している部長。




熱い思いは伝わってきた。


でも、みんなどこかで信じてしまっているのか、律くんが女の人に手を出した事実が、本当だという前提で話しているように思える。