心が解けていく





会社に着いても、集中できる気がしない。


会社には律くんのファンもきっと居るし、ファンでなくても朝からあんな報道がされていたら、誰だって話題にしたくなる。





「おはようございます」


「おはよー」





書類から目を離さずに、私の挨拶を軽く返した部長は、私が椅子に座るとすぐにその書類を頭の上に掲げた。





「藤波さん、ごめん。この資料さ、誤字脱字がないか確認してくれない?」


「はい。でも何故わたしに?部長が誤字脱字なんて、しないじゃないですか」


「それがさ…。今日はエネルギーゼロ。推しが女の人に手出したみたいで、それがショックで仕事どころじゃないの」




ようやく資料から目を離したと思えば、光のない絶望した目を向けられる。


この推しって…。