久遠で酔っ払って律くんに家まで送ってもらったこととか、キャンプでマンガ肉を一緒に焼いたこととか、全部友基の前ではできなかった。
律くんだから見せられた私。
嬉しい思い出で上書きしていきたいのに、邪魔が入る。
…律くんに、会いたい。
恥ずかしいけど、〝可愛いね〟って言ってもらって、抱きしめてほしい。
ビーズクッションの上で、自分を抱きしめて目を閉じると、キャンプ場での描写が鮮明に脳内で再生された。
広い草原で小さくくっ付いて、柔らかな柑橘の香りに包まれて。
律くんの名前を呼ぶと、少しくすぐったい弱い力で髪を梳かすように撫でられる。
「律、くん…」
幸せ。
自分を出しても、こんなに愛してもらえる人が居る。



