心が解けていく






「俺の昔の彼女の話、聞きたい?沢山あるよ」


「た、たくさん…。いや、いいです」


「まず一人目はね。何年前だったかな…?」





ほら、彼女の話なんて聞きたくないってすごく思ってるもん。

耳を塞いで、何かしらの声を出して誤魔化して。


彼女の名前も知りたくないから、ある程度読めてしまう口元も見たくなくて、目を閉じた。




耳に入ってくるのは、訳の分からない籠った自分の声と、ゴロゴロと血液か何かが通る音だけ。



よし、これで聞こえない。


完全に遮断できて満足していると、耳を塞ぐ自分の両手の上から長谷 律の手が重なった。




暖かくてゴツい手の感触にびっくりして目を開けると、距離数十センチのところに長谷 律の顔があった。