先生の金魚

由良(ゆら)ナツキ。

黒板に書かれた、初めて見るせんせーの文字は書道の先生みたいに美しい。

長い指に摘まれたチョークも、
指先に残る石灰の跡すらも妬ましい。

「せんせーい!イケメンは名前すら主人公感なんすねー」

茶化した男子にせんせーは「きみ達はもーっと素敵なお名前ですよー」って言いながら目を細めた。

メグが座っている席は窓側の後ろから二番目。

一番前に座ればよかったなって人生で初めて思った。
そしたらもっとせんせーのお顔を近くで見れたのに。

きっと、まつ毛の一本一本まで。