先生の金魚

せんせーは全員の名前を呼び終わってからハッとしたみたいに白いチョークを摘んで黒板と向き合った。

「入学式では挨拶したけどここでの自己紹介を忘れちゃってたな」

「しっかりしてよー」とか「かわいー」とか女子達から野次…って言うよりも黄色い声が飛んできて、
男子は「イケメンずるー」とかって正真正銘の野次が飛んだ。

こんなに短時間でせんせーはすっかり人気者になった。

ピン、と皺が伸びたシャツ。
ていねいにアイロン掛けされているのか、
ううん。きっと新品なのかもしれない。

メグが最初に見るせんせーは全部、
せんせーにとっても初めての物だったらいいのに。

過去なんか全部捨ててよ。
メグが知らない過去、全部。