玉響の一花 三

天気も良くて風も気持ちいいし、
何より都内と違って空気が美味しいから
ずっとここにいたいとさえ思えてしまう



『お前も休憩していいぞ‥‥。
　拓巳のヤツ暫くは終わらないから。』


ﾄﾞｷﾝ


Tシャツの裾を持ち上げ、顔の汗を
拭う筒井さんの腹筋がチラッと見えて、
思わず固まってしまう。


改めて明るいところで
ちゃんと見たことって
なかったかもしれないけど、
本当に背も高くて鍛えてるし、
スタイルがいいのに、顔立ちまで
整ってるから一つも欠点が見当たらない



『あーー！！霞ちゃんのエッチ！！
　顔赤くして‥‥何考えてるの？』


「えっ！？
　な、何も考えてませんから！！」


そんなに赤い顔をして見ていたのかと
思うと恥ずかしくなり両手で思わず
自分の顔を隠した。



『おい‥負けておいてよそ見する
　余裕があるとはいい度胸だな‥‥』



『わっ！おい、卑怯だぞ。
　今のはノーカウントだからな。』


恥ずかしくなりながらも、
やっぱり2人のやりとりは面白くて、
ラリーが終わるまで暫く眺めていた。



『はぁ‥疲れた。
　シャワー浴びて中で飲もうっと。』


「ふふ‥蓮見さんお疲れ様です。
　最後惜しかったですね。」


2人とも汗だくで戻ってきたので、
タオルをそれぞれに差し出した。


『フン！どうせ霞ちゃんは滉一のこと
　応援してたんでしょ？』


『おい、邪魔だから早く行けよ‥‥。
　ちゃんとペナルティ守れよ？』


『はぁ？邪魔！？ああそうですか！
　行きますよ！！行けばいいんだろ？
　霞ちゃん蓮水家の敷地内は
　イチャイチャ禁止だからね！』



ﾄﾞｷｯ


ペットボトルのミネラルウォーターを
飲みながら行ってしまった蓮見さんに、
溜め息を吐く筒井さんが私の横に
座って同じようにお水を飲んだ


「ふふ‥楽しかったですね‥
　筒井さんの足手纏いにならずに
　済んで良かったです。」


タオルを頭からかけていた筒井さんの
髪をその上から拭いてあげると、
筒井さんが私の髪の毛を耳にかけた



『髪‥だいぶ伸びたな‥‥。』


風が吹いて顔にかかる髪の毛を両方
耳にかけてくれると、耳たぶに指が
触れてビクッと小さく体が跳ねる


「‥‥短い方がいいですか？」


切った時に似合ってるって言ってくれた
から暫くはショートでいたけど、
首が隠れるくらいに伸びたから、
切るか悩んではいたのだ‥


『今までのもどれも似合ってるよ‥
　また前みたいに伸ばすのか？』


「と、特に決めてませんが、
　夏は暑いので纏めれた方が
　ラクなんです‥‥ッ‥
　それより、つ、筒井さん‥
　そこ触らないで‥くださっ！」