ご先祖様の力を借りて。

縄張り……追いかけてきた人が水真家に所属していると言っていたし、ここは水真家の縄張り?

でもいつもこのあたりで妖を退治してきたけど、侵入者扱いなんてされていない。

ご先祖様達もこのあたりで妖を退治してきたと言っていたし、侵入者扱いをされたとかの話は聞いたことがない。

そんなことがあったなら、教えてくれるだろうし。


「私、侵入者?」

「いや、このあたりは昔から妖が少ない場所だった。だからここは五家の縄張りではないので、誰でも妖を退治できる」


妖が少ない……もしかしてご先祖様たちが退治してきたから?

そういえばこのあたりから出て妖を退治したことはなかった。

ご先祖様がここから先は行かなくていいって言ってたけど、侵入者扱いされるからだったのか。

私が昔を思い出して納得していると、追いかけてきた人が所属について、詳しく話し始めた。


「所属すると最低一週間に一回は妖を退治しなくてはならないが、退治した分だけ金がもらえる」

「お金……」

「希望者は屋敷に住むこともできる」


私は手をあごの下に置いて、考える。

……そういえば私、そろそろ家を出たかった。

家にいても嫌がらせされるだけだし、その嫌がらせが最近ひどくなってきてお仕事に影響が出そうだったから。

住むところがもらえるのは良い。

住むところにこだわりなんてないし、妖を退治するのはいつもやってきた。

ご先祖様をちらりと見ると、『美霊の判断に任せるよ』と言って頷いた。