ご先祖様の力を借りて。

「何か用?」

「……お前、五家のどこに所属してる術使いだ?」


術使い……あぁ、術を使う人のことか。

……ご先祖様からほかにも術を使う人がいるって聞いたことはあったけど、会ったのは初めてだ。

さっき見ていた通りだと、氷の術使いかな。


「術使いは全員把握しているつもりが、お前は見たことがない」

「所属ってなに? 術使いにも会ったことがないから、わからないんだけど」

「……所属してないのか?」

「たぶんしてない」


私がそう言うと、追いかけてきた人はそんな人がいるのかと目を見開いて驚いた。

……所属していないだけで、そんなに驚くことなのか。

ご先祖様達もしていないと思うが……


「……所属は、水真家(みずまけ)木森家(きもりけ)火和家(ひわけ)土岩家(つちいわけ)金石家(かないしけ)の五つがあり、俺も水真家に所属している。術使いは必ずどこかに所属していると聞いていたが……」

「私、所属してない。所属したほうがいい?」

「五家はそれぞれ妖を退治する縄張りを持っている。その場所で勝手に妖を退治したら侵入者扱いになる。それが嫌だったら所属したほうがいいんじゃないか?」