ご先祖様の力を借りて。

『あれ、どうしたのそんなぼーっとして』

「あ、なんでもないです」


さっき憑依を解除した優幻様に呼びかけられて、はっとする。

……たまに馬鹿っぽいところ以外は尊敬してるし、こんなこと考えてるってバレたらちょっと困る。

憑依してもらえなくなったら何もできないし……

そんなことを考えながら荷物を片付けていると、ご先祖様が話しかけてきた。


『ねえねえ、今日の愛璃(あいり)さ? なんかいつもより機嫌よかったよね』

『確かにそうね』

「そうでしたか? 私にはいつもどおりに見えました」


優幻様に聞かれて、答える。

いつもどおり、いちゃもんつけてただけだったと思うんだけど……

そう考えていると、優幻様が私がいなくなった後のことを教えてくれた。


『えー、だって美霊が部屋に戻った後に、スキップして親に報告してたよ?』

『そうよ。受験、受かったみたい』

「あ、そうでしたか」


……そういえば今日、受験の結果が発表されるんだったね。

え~と、たしか……なに中学校だったっけ?

……まぁいいや、そんなことより今日の仕事のことを考えないと。