ご先祖様の力を借りて。

「……ふっ!」


海晴が氷の槍を妖に投げた。

きれいに妖を貫いて、後ろにいた妖も貫いた。

……さすがだ。

結界も、いらなかったみたいだ。


「……ほかに見つけたら教えてくれ」

「わかった」


うなずくと、海晴は移動を始めた。

私は海晴についていく。

そのまましばらく歩くと、私より少し大きいくらいの妖が見えてきた。

私が一メートル四十五センチくらいだから、一メートル五十センチくらい?

妖は強くなるほど、大きくなる。

だからこの妖は、強いってことなんだけど……

最近この大きさの妖をよく見るようになったから、あまり強く感じなくなってしまった。

弱い妖も増えているし、どうなっているんだろう。

そう考えながら、私は自分に結界を作る。

強い妖相手だと、さすがに攻撃を受けるかもしれないから、保険として結界を作ったほうがいい。

戦うのは海晴だから、海晴に結界を追加で一枚作っておき、壊れたときはすぐに作れるように集中する。