私はうなずいて、走っていく海晴を追いかける。

……相変わらず、足が速い。

たまにこちらを見て速度を落としてくれてるから、追いかけることができる。

本気で走られたら、追いつけないと思う。


『あ、ねえねえ! 左に妖が二体いる!』

「止まって」


天見様の言葉を聞いて、海晴に呼びかける。

海晴はすぐ止まって、こちらを振り返った。

左を指でさすと、うなずいて左に向かって走り出した。

あらかじめ決めておいた合図があって、これがその一つだ。

妖を見つけたら、その方向に指をさす。

妖も音は聞こえるから、できるだけ見つからないようにするためだ。

少し左に走ると、妖がいた。

近くの物陰に隠れて、息をひそめる。

ちらりと海晴を見ると、氷で槍を作っていた。

……海晴が攻撃するなら、私は守りに徹するか。

そう考えて、海晴に結界を作る。

弱い妖の攻撃は完全に効かなくなるし、強めの妖の攻撃でも五回くらいは守ってくれる。

横向きに結界を張ると武器にもなるから、とてもいい術だと思う。

ただ、結界が三枚までしか作れないのは少し残念かな。