ご先祖様の力を借りて。

私には生まれたときから幽霊が見えていた。

幽霊って言ってもご先祖様、その中でも女性の幽霊しか見えなかったけど。

そのご先祖様たちから聞いた。

神影家の女性は術という力を使える、と。

私のお母さんはその術が使える神影家の女性で、私はその術が使えると言っていた。

私……神影(かみかげ) 美霊(みれい)の術は、『霊使い』という。

ご先祖様を見ることができ、ご先祖様を自分に憑依させることができる。

そして憑依させたご先祖様の術を使うことができるという術。

ご先祖様たちの力を使えるということだ。

つまり、ご先祖様の一人が憑依して、幻影の力を使わせてもらっていたということ。

五歳の時には使い方を理解してたし、すぐにご先祖様を憑依させて幻影の術を使ったんだよね。

……その時憑依させたご先祖様……優幻(ゆめ)様はこう言ってた。


『そういえば五歳で額に模様が出るんだったね? 完全に忘れてたよ。いつもは親が教えてたし、今回もそうだと思ってたね』


その後からほかのご先祖様も『忘れてたわ』とか『確かに』とか『目の色まで変わるのは珍しいですね』とか……できれば教えてほしかった。

……もう過ぎたことなんだけど。

あの時以上にご先祖様たちを役立たずだと思ったことはない……それ以外では優秀だったから。