ご先祖様の力を借りて。

……疲れた。

部屋に戻る帰り、ここの使用人に雑用を押し付けられたんだけど……部屋から出て行くなって言われてるし、やらなくていいよね。

それに聞きたくもない話を聞かされたし……

使用人のあれを許してるなんて、天光家も終わってるよね。

そう考えながら、ふと鏡を見る。

……黒い髪に黒い目、額には何もなし……幻影は解けてないみたい。


「はぁ……」


溜息を吐きながら部屋の鍵をかけて、幻影を解く。

鏡に映る私は白い髪に白い目、額には目のような模様が現れていた。

……すごく派手だな。

この見た目になったのは五歳の時だから……七年前くらいってことだね。

五歳の誕生日の朝、起きたらこの見た目になっていたんだよね。

幻影の方は簡単に言うと、幽霊に貸してもらってるって感じ。

まぁよくわからないと思う。

幽霊とか、私も信じなかったし。

でもこれは本当、だって見えてるから。