あれから、学校や図書館で、彼女を見かけることはなかった。




最後に会った日、『また喋ろうね』と彼女は言っていたけど、会えなかったら約束は果たせない。


──というか、僕が、果たそうとしなかっただけだ。




最後に会った日の次の日も、その次の日も、僕は学校で彼女を探した。



あの日の続きと、まだ聞きたいことがあった。


思い出したのに。





もっと必死に探してもよかったと思う。



彼女は見かけなかったけど、平山さんはよく見かけた。


だけど、僕には、声をかける勇気がなかったのだ。



それで声をかけずに終わったら、今までの僕のままだ。


そう思うけど、どうしようか考えているうちに、彼女のことで頭がいっぱいだったのが、少しずつ、彼女を思い出す頻度が少なくなった気がする。






いつものように、彼女のいない学校へ行く。





靴箱に靴を入れようとしたとき、手の甲に何かが当たった。