君の瞳に僕の色は映らない

「それ以外のぬいぐるみも取ってたのも説明しておかないとだよね。あの時、完全に私たち悪者だったもんね」



そう言って、彼女は少し悪いことを考えている感じの笑みを浮かべた。



「いやそういうつもりじゃ───」


「わかってるわかってる!えっとー、なんであんなにいっぱい取ったかって言うとね」



そう言う彼女の顔は、少し沈んで見えた。



「私の妹、余命宣告されてたんだ」


「えっ!?」







そのことに驚いたのもある。





けどそれ以上に引っかかるのが、『余命宣告』が過去形だと言うこと。


余命宣告が取り消しされるなんてこと、そうよくあるものではないはず───




「何日か前に、死んじゃったんだけどさ」


そう言った彼女の目は潤んでいた。


彼女がこんな顔を見せたのは、恐らく初めてだ。



つい先日に、まだ幼い家族が亡くなった。


それなのに、彼女は無理して笑っていたんだろうか。