君の瞳に僕の色は映らない

でも、やっぱり思い出せなかった。


確かに、二つのことを聞こうと思っていたのは事実だ。



「じゃあ思い出したら聞いてよ」


「うん」



そして、彼女が後ろを振り返ったと思ったら。



「あ、ちょっと待って」



彼女が僕を呼び止めた。



「あのー、私たちが最初に会った日。いや、二回目かな」


彼女は首を傾げて微笑みながら続けた。


「ちょっと勘違いしないでほしいから言っておくんだけど、ゲームセンターでとったやつ、ちっちゃい女の子に頼まれたんだよ」



彼女がそう話して、そんなこともあったなと思い出す。


確か、彼女はゲームセンターの景品を片っ端から取っているように見えた、あの日だ。


「頼まれたって?」


「百円玉握りしめて、『これとってください』って言われたんだよ。あのくまのぬいぐるみ」


「そうなんだ。……え、何個とったの?」


百円玉を渡されたということは、一つだけのつもりだったんだろうけど。