君の瞳に僕の色は映らない

彼女は、廊下に寄りかかった。



「男の子は、ううん、って。でもね私は、茶色に見えるって浩希くんが嘘をついた理由がわからなかったから、なんでだろうって、ずっと思ってたの。何年後かには理解できたんだけどね」


そう言って彼女は笑みを浮かべた。


窓からは、雲から顔を出した太陽の光が差し込んできた。



「だから私、浩希くんになら言ってもいいかなーって思っちゃって。名前を知ったとき、びっくりしたもん」


「そうだったの?」


僕は驚いて、思わず大きな声を出した。




「そういえばさ、浩希くん、私に聞きたいことあるって言ってたよね?」


「え、うん。それで今の聞いたけど──」


「この話するとき、一つ目は、って言って話し始めなかった?」



言われてみれば、と思い出す。



「もう一つあるの?」


「うーん……」



何だったっけ、と頭の中をぐるぐる回転させる。