そのどちらにも当てはまらないのに読もうとする人がすぐそこにいたことにびっくりした。


たぶん、僕が見てきた人の中で一番好奇心旺盛だ。



僕も知花みたいになんでも自分から知ろうとする人間になれたらな、と思う。


でも興味がないことには本当に興味はないから…何にでも興味をもてるのは才能だ。



僕は知花にも分かりやすそうな本を手に取った。



「あっちで座って読んでみる?」


入口付近に小さなテーブルとソファがあった。


「うん!」


僕達はそこに座って持ってきた本を置いた。



「どこ見る?」


僕は目次を開きながらそう言った。


「うーんと、色のところ!」


「色のところかー。色覚障害かな」



そう言って、書いてあるページを開いた。


「……漢字読めない。おにーちゃん読んで」


「はいはい」




───先天性色覚異常。



僕は目に入ってきた大きくプリントされた文字を読み上げた。


少し言いにくい。



「なにそれ?」


「生まれつき色が違って見える障害かな」