君の瞳に僕の色は映らない

僕の名前を呼んだ人の正体だ。


その横には平山さん。



僕たちの様子に気づいたのか、知花がブランコから降りて僕のところにやってきた。



「なんでこんなとこに」


「それはこっちのセリフ。よく会うよねー私たち」


平山さんは相変わらずポーカーフェイスで無言のままだ。



「あれ、可愛い子いる!お名前何ていうの?」


桜田仁奈が、平山さんと対照的な表情をして知花に聞いた。


「……みどりやちか、です」


「かっわいーっ!兄妹か!」


「うん」



知花は人見知りを発動しているようだったけど、桜田仁奈の言葉に、よろこんではいた。



「なにしにきたの?二人とも」


「調べたいことがあって」


「ふーん、図書館にわざわざくるなんてすごいね。あ、もう開くよ、いこ!」



ここの図書館は子ども図書館と普通の図書館が一緒になっている。


子どもの本も大人の本もジャンルごとに同じ場所に置かれていて、南側から北側にかけて子供用の本になっていく。


初めてくる人にはわかりにくい造りではある。