君の瞳に僕の色は映らない

給料も多めだし、上司や同期、部下との関係性も良好で、労働時間以外、悪いところはないそうだ。



最近は、両親がいいならいいと思うようにしている。



「おにーちゃん、図書館いこ!」


時計を見たけど、まだ八時前だ。


ちなみに、今はいつもならまだ寝ている時間。


図書館の開園は、たしか九時だった。


「まだやってないよ?九時からだよ、図書館は」


そう言うと、知花は今にも泣き出しそうな顔をした。


しかたない。


「じゃあ開くまで近くの公園で遊んでよっか」


「うん!」



知花も満足したようだった。



僕は適当な服に着替えて、家の鍵を閉めて知花と一緒に家を出た。




家から図書館まで、徒歩十分程。


それなりに近いところにあるから助かっている。



「おにーちゃん早く行こうよ!」


僕がゆっくり歩いていると、前を歩いていた知花が振り返って言った。