初恋、叶えてもいいですか?



「ぜひ、今度一緒に行きましょう!では!」

 これ以上、先輩の顔を見ていたら心臓がもたないと判断した私の頭と身体。

 ぺこりと先輩に頭を下げ、先輩の返事も聞かないまま、その場から立ち去った。


 先輩と話す時は、いつもこうなる。

 勝手にドキドキして、緊張して。こうして優しく話しかけてもらっても、いつも逃げてしまう。

 たくさんの恋愛漫画を読んで、恋に憧れて、妄想を膨らませながら初恋をする準備は出来ていたはずなのに。

 妄想だけは完璧なのに、いざ現実になったら完璧な妄想の世界とはいつも真逆。


 じわりと、目に涙が浮かぶ。

 私、やっぱり恋愛は向いていないのかも。

 こんなんじゃ先輩に嫌われてしまうし、もし付き合えたとしても上手くいかないよ。


 ごしごしと、涙を拭いてから気付く。

 これから大西くんとのデートなのに、これじゃあメイクが崩れて酷い顔になっちゃっている。

 やっぱり、大西くんには今日のデートは無しにしてもらおう……。


 少し離れたところで、行けなくなったとメッセージを送ればいい。

 そう思って、大西くんとの待ち合わせ場所には背を向けて、反対方向へと歩き出した。