「お嬢ちゃんひとり?夜道は危ないぜ~?」
「案内してあげよーかあ?……お、ケッコー可愛い顔してんじゃねェか」
「あーあ、おまえがそんなことしやがるから逃げちまったぜ」
なんだろう…、この街……。
むやみやたらに屋敷を飛び出して来てしまったことを後悔してしまったほど不気味な明るさを知った、とある夜。
中華街というだけ、その街は提灯だらけだ。
初めての景色に右往左往しながらも、わたしは彼らの事務所を探すために駆け抜けた。
「おいっ、戦闘狂だ…!!向こうにいるぞ!!」
「逃げろテメェら…!!あいつは容赦なんかねェ!!本当に殺られるぞ……!!」
とある場所から、男たちがぞろぞろと逃げてくる。
抗うように進んでいたわたしは1度だけ立ち止まって振り返るものの、音が聞こえないため恐怖心はそれほどない。
「ギャアアアアア!!!頼む、ゆるしっ、許してくれェェェ……ッッ」
「だったら吐けよ。おまえが庇ってる男の居場所」
「っ、」
「まだ黙る?残念だけどこの街は俺がルールだから」
「っ、ウガァァアア!!!」



