ゆっさゆっさと、わたしが言葉なく訴えかければ彼は聞いてくれる。
すてんっと落とされて、あたまを守りながら屋敷を出ていく男の子。
“あの子、なんて言ってたの?”
「べつになんも?」
“ううん。わたしに指、さしてきた”
「…虫でもついてたんじゃない?」
どうして手話を使ってくれないの。
簡単なものなら使えるようになっているはずだし、わたしと会話ができて楽しんでいるところもあったのに。
こういうときは使わないゆーみは、やっぱりよく分からない。
「ぁ……」
ほらね、また行っちゃう。
怒っているならちゃんと言ってくれないと分からないよ。
ゆーみは今日おかしい。
お医者さんにも怒っていたし、さっきの男の子にも。
あなたは何を言われてそんなにも怒りを露にしているの……?



