「そこのブス!!さっきから見てるだけでなんも聞こえてねーのかよ!だっせーな…!!」
良いことは、言われていない。
でも聞こえないから、とくに傷つきもしない。
けれど周りの舎弟たちがピシッと姿勢を伸ばしたのはたぶん、凍てつくような空気をかもし出した存在がひとり居たから。
「わっ、うわあ…っ!!」
その子の首根っこを掴んだのもまた、ゆーみ。
簡単に少年の身体はふわっと浮いて、どんなにバタバタ抗おうとも意味を成していない。
「だれがブスだって?」
「たっ、助けてえええ……っ」
「丸焼きにされるか一生話せなくさせられて帰るか、どっちがいい?まだ後者のほうが生きることはできるだろうよ」
「ひっ、ひぃぃっ!!オレっ、カイト12歳!!」
「俺の12歳はもっと可愛かったな。そんなことよりおまえ、ここがどこだか分かってんの?」
「こっ、こえーとこ……!」
「そのコエー敷居に入ってきた覚悟あってナメた口利いてんだろ?…なんだよニコちゃん」



