「したら親父、あの使用人とかいう娘もこいつと一緒に───」
「俺、出ていくよ。それをあんたらも望んでるなら、出ていく。…でも1コだけ、条件がある」
それくらい頼まれてよ。
がんばったんだ、俺。
俺なりにずっと……やってたよ。
「…条件?」
「ニコを高校卒業させて、大学にまで通わせてやりたい。…金は俺が出す。けど……あいつには居場所がないから、ここに置いてやってほしいんだ」
理由なくここに置いてくれるような善人じゃないだろ、あんたは。
かといってもし兄貴がニコを気に入りでもすれば、俺はたぶん気が狂って間違えて殺してしまうかもしれない。
でも、俺ができることってこれくらいしかなから。
ここなら守ることができる。
なにかあったとしても莫大な権力がある。
「ゆうみ、どこ行くの」
「……なんで起きてんの」
とある夜中、屋敷の玄関を出ようとすると、半分寝ぼけている少女に呼び止められる。
その姿が出会ったばかりのガキんちょにも見えて、俺は思わず暗闇のなかで唇が震えた。



