「…なあにニコちゃん」
「………ちゅー、……した、い」
「……まさかおまえから屋外プレイ誘ってくるとか、おにーさんびっくり。エロい女になったねえ」
寂しそうな顔、してたから。
その瞬間だけは甘い顔で私だけを見てくれるから。
今は誰もいないし、もし誰かに見られていても私は同じセリフを言っていた気がする。
「なら、このままホテルにでもいく?」
「うんっ」
「……うん、じゃないんだよクソガキ。ほんとに連れ込んだらビビって泣くくせ───」
「うん…っ」
「…俺ね、ニコちゃんのそーいう適当なとこきらーい」
キスじゃなく、抱きしめてきた。
もっと強く抱きしめていいんだよと思わせてくる力加減が、この人の本来の弱さと優しさなのだと思う。
「ニコだけはどんな俺を見ても……ぜったいそばにいてよ」
このとき、もうふたりでどこかに行っちゃえば良かったんだ。



