「あーもう、なにやってんだよ!」
「………いたい…」
「立て!そこで泣いたらダサいぞ!」
「……うん」
転んでしまった男の子よりも、私はなぜか隣に座るゆうみの表情が先に目に入った。
誰かを重ねるように、あなたは今なにを思い浮かべているんだろう。
「にーちゃん?ぼく歩けるよ?」
「弟が転ばないようにしてやるのが兄ちゃんのツトメなんだよ」
「つとめ?…にーちゃん、やっぱりかっこいいね」
最後はお兄ちゃんにおぶられて、弟は嬉しそうだった。
いいものを見たと穏やかな気持ちになるはずが、静寂がもっと静寂に変わったような感覚のなか。
「……俺たちには程遠い普通だ」
そんなに強く握ったら溶けちゃうよ、かき氷。
ゆうみにはお兄さんがいる。
これは矢野さんやジローから話されたわけではなく、私が勝手に考察していることだ。
ただ誰もそこについては触れようとしない雲雀会のタブーとして。



