「ラッキー。かき氷売ってる」
いくつか設置されている屋台で彼がそこを目指すだろうとは、検討ついていた。
そしてブルーハワイ味を頼むことも想像できる。
シロップかけ放題。
もちろんシャバシャバになるまでかけて、屋台のおじさんに苦笑いを貰うまでがセット。
「あっっま。ほらニコも食ってみ」
「……ん」
「おまえ意外と甘党だし、こんくらいがちょうどいいっしょ?」
スプーンはひとつで十分。
出会った頃は「餌付け」なんて周りから冗談混じりに言われていたけれど、今はどうだろう。
他の女の子と同じようにしちゃダメだよと、誰にも言えない独占欲というやつだ。
「にーちゃんまって!」
「はやくしろよー!」
「にーちゃん!」
すると私たちが座るベンチ前を横切ってゆく幼い兄弟。
フードを被ったお兄ちゃんはキャップを被った弟を鬱陶しそうに見つめながらも、なんとなく歩幅を遅くさせていた。
───と、弟がなにかに躓いて転んでしまう。



