「お、あいつサラッと入れてるし」
仲間たちでパスしあって繋いだサッカーボールが、最終的によく知る顔に渡ってゴールネットに入る。
あんなにも賑やかだったサッカー少年はかつて組長さんの大切な壷を割っていたというのに、今では大活躍だ。
夏休み真っ只中の、ある日。
私はゆうみと一緒に海人の大会を観に来ていた。
「飽きた」
しかし、前半残り2分を切ったところで。
「もうじゅーぶん見たし、移動しよニコちゃん」
「…………」
なんか立ち上がってる…。
なるべく日陰を選んだつもりだし、夏日にしては珍しく涼しい日で助かったと言っていたのはついさっき。
見上げる私のうでを掴んでは「日焼けしたらサイアク」と適当な理由をつけて、ゆうみはサッカー場から私を連れ出す。



