“あの人のこと、まだきらいなの…?”
“…あのひとって誰のこと?”
“……天道、さん”
ハンカチ、まだ返してないの。
でも今はさすがにタイミングが悪いから、もう少ししたらって何ヵ月も先延ばしにしちゃってる。
あのカフェにはあの日以来きていないみたいだし、娘さんにも会うことはなく。
「…自分からふっかけといて情けないけど、俺にはどーにもできそうにない。だっておまえが許しちゃうから」
「……?」
「たぶん許すんだろ?父親を殺した人間を、俺とずっと一緒にいたいからって理由だけで音都ちゃんは」
彼はとても、ホッとしている顔だった。
「だったら俺も、ニコちゃんがいてくれればいーの」
「………じかん、」
「…ん?時間?」
「……とまって、ほしい…」
ずっとここにいたいよ、ゆうみ。
高校を卒業したら私はどうなるの…?
18歳を過ぎたら、成人したら、もう嫌でも“子供”なんて言えなくなってしまう。
私が“子供”だったから、あなたはここに置いてくれたのに。



