買い物を済ませ、兵頭組へと帰る。
女将さんに買ってきたものを渡して料理を手伝う。
まぁ、ある程度の時間になったら樹さんが無理矢理ご飯食べるぞって連れてかれるんだけど。
ここ最近はずっとそれが続いてる。
「芽依ちゃん、鮭が焼けたか確認してくれるかしら?」
「はい」
女将さんに言われて鮭の確認をすると、いい感じに焼けていた。
焼き目もいい感じに出ていて、とても美味しそうだ。
「いい感じに焼けてます。取り出しますね」
「えぇ、お願いね」
菜箸でいい感じに焼けた鮭をそれぞれの皿に盛り付ける。
その時、ガラッと扉が開く音が聞こえてきた。
「いい匂い〜。女将さーん、芽依ちゃーん、お腹空いた〜・・・!」
現れたのはお腹を空かせたであろう新一くんだった。
バイトがない日はいつも顔を出してるから、驚かなくなってしまっている。
「あら、新一くん。もうすぐ出来上がるわよ」
「今日何?」
「鮭の塩焼きよ。味付けは芽依ちゃんがしてくれたわ」
「マジで!?芽依ちゃんの作る料理美味しいんだよね〜!!」
嬉しそうにしている新一くんはもう待てないと言わんばかりに私の近くに来て様子を見ている。
「ねぇ、芽依ちゃん。おかわりできる?」
「数が足りなくなっちゃうからおかわりはむりかな」
「ちぇ〜・・・おかわりしたかったぁ〜」
「また今度作るからその時ね」
おかわりができないと知ってムスッとしている新一くんをなだめながらご飯や味噌汁をわける。
それをおぼんに乗せ、新一くんに渡した。
「はい、出来たよ」
「わーい、ありがと〜!!」
嬉しそうな表情をしながらおぼんを受けとり、バタバタと食堂の方へと走っていく新一くん。
「走ったらこぼすわよ!・・・全く・・・困った子ね」
「あははっ、どんだけお腹すいてたんですかね」
女将さんが声をかけるけど、聞く耳を持たずに走り去っていく新一くん。
それを見て思わず笑ってしまった。
「芽依ちゃんも、ご飯食べておいで。そろそろ樹ちゃんが来る頃だから」
「え、でも──」
そう言おうとした時、ガラッと扉が開く。
扉の方へ視線を向けると、そこには樹さんが立っていた。
「芽依、飯食うぞ」
「ほら、お迎えが来たわよ。行ってらっしゃい」
「・・・はい、ありがとうございます。あとお願いしますね」
これは残るって言っても強制送還されるやつだな。
そう感じ取った私は、素直に返事をしてエプロンを外した。
「はい、2人の分ね」
そう言って、私に2つご飯の乗せたおぼんを渡してくる。
それを受け取り、樹さんの元へと向かう。
「自分で持つ」
「あ、はい。お願いします──」
樹さんにおぼんを1つ渡そうとした時、手が触れてしまう。
それだけなのにドキッと胸が高鳴ってしまう自分がいた。
「す、すみません・・・!」
「・・・別に」
緊張で少しギクシャクしてしまう私に対して、短く言うと食堂の方へと歩みを進める樹さん。
気にしてるの、私だけ・・・か。
その事が、やけに引っかかってしまい、ご飯を食べている時も考えてしまっていた。



