樹さんの行動に動揺していると、部屋へとたどりつく。
部屋の扉を開けて樹さんが入れるようにと道を開ける。
だけど部屋の前で立ち止まり、私の方へ視線を向けた。
「・・・入っていいのか?」
「え?はい。大丈夫です」
「・・・・・・そうか」
確認を取ってから部屋へと足を踏み入れる樹さん。
別に確認なんかしなくてもいいのに。
そんなことを考えている最中に部屋の中へと入った樹さんは、タンスの前に荷物を置いた。
「ありがとうございます、樹さん」
「あぁ、気にすんな」
そう言い残すと、樹さんはそさくさと部屋から出ていった。
なんか、急いでるみたいだったけど・・・やっぱり用事あったのかな?
閉められた扉の先で聞こえてくる足音を聴きならそんなことを考えるけど、深く考えても仕方がないか。
そう思いながら、荷解きをし始めた。
ダンボールから服や下着を取り出し、タンスの中へと閉まっていく。
元々必要最低限のものしか持ってなかったから量はさほど多くない。
荷解きは、そんなに時間がかからずに済んだ。
「あとは・・・お母さん達の写真を・・・飾って・・・と」
ローテーブルに両親と撮った写真を飾る。
両親揃って写っている写真がこの写真だけだから、私にとっての宝物だ。
「うん。これでよし・・・!」
全てを終えた達成感から、自分の腰に手を当てて部屋を見る。
さっきとあまり代わり映えしないけど、お母さん達の写真があるだけでだいぶ変わるな。
「・・・さてと・・・今日は課題もないし、やることがなくなっちゃったな・・・」
もう少し荷解きに時間かかるかと思ってたから拍子抜けだな。
やることがある時は特に気にしてなかったけど、今後兵頭組にお世話になることになるんだよね。
なんの代償もなしに置いてもらうなんて申し訳ないんだよな・・・。
バイトはしてるけど、それは学費とかスマホ代に消えちゃうからお金は払えないし。
かと言って、何もしないでのうのうと過ごす訳にもいかないし。
せめて、何かお手伝いでも出来ればいいんだけど・・・。
そう考えた時、朝の出来事を思い出す。
そういえば、女将さんって1人で料理と配膳と片付けやってるんだよね?
さすがに大変だろうし・・・手伝おう。
そう決心して、私は部屋を出た。



