樹さんに運転してもらい、アパートまでたどり着く。
車の後部座席にダンボールを積んでいてくれたみたいで、それに必要な物を詰めていく。
樹さんもその場にいるけど、服を詰めている時には後ろを向いていた。
「詰め終わったか?」
「はい、終わりました」
「・・・貸せ、持ってく」
「あ、ありがとうございます」
詰め終わったダンボールを2つ重ねて持ち上げながら答えると、それを奪い取るようにヒョイっと片手で持ち上げた樹さん。
結構重いのに、片手で!?
それに驚いていると、ジーッとベットの方を見つめて優しげな表情を浮かべていた。
「どうしたんですか?」
「!・・・いや・・・ちょっとな・・・」
声をかけるとピクっと反応し、視線を逸らした樹さん。
そして、一瞬ためらいいつつも口を開いた。
「・・・お前・・・俺以外の見ず知らずの奴相手にもあそこまですんのか?」
「え?あそこまでって?」
「その辺で倒れたヤツを部屋まで送ったり・・・眠気の限界が来るまで看病したり・・・薬用意したり・・・そういうことをするのかって事」
私視線を向けずにポツポツと話し始める樹さん。
「両親に“誰にでも優しく接しろ”って教えられましたし助けますね。あと、私医者志望なので困ってる人がいるなら放っておけません」
「・・・そうか。・・・俺だけじゃねぇのか・・・」
ボソッと何かを呟いた樹さんだったが、その言葉は“俺だけ”以外上手く聞き取れなかった。
俺だけ・・・?
「俺だけ・・・なんですか?」
「っ・・・なんでもねぇ。早く行くぞ」
聞き返されたことに少し驚いたような素振りを見せながら、そさくさと部屋を出ようとする。
先に行ってしまった彼のことを追いかける。
「樹さん、重くないですか?」
「大丈夫だ」
そう言って、部屋を出て車へと荷物を運んでくれる樹さん。
車に荷物を詰め終わると、助手席の扉を開けてくれる。
樹さん、いつもこうして開けてくれるけど癖なのかな?
車の運転は嫌ってほどしてるって言ってたし、テレビとかで放送してるドラマとかでも目上の人を車で送る時とか扉開けてたし。
「乗れ。帰るぞ」
「はい」
そんなことを考えながら車の中に乗り込んだ。



