ご飯を食べ終わったあと、厨房に片付けに行く。
樹さんはやらなくていいから置いとけ、と言われたけど・・・片付けだって楽じゃないだろう。
そう思って持っていったんだけど・・・。
「あらヤダ〜!!持ってきてくれたのぉ!?嬉しい〜!!他のみんなは食べてそのままなのに!!」
これでもかというほど嬉しそうにしていた。
本当に持ってこない人が多いのね・・・。
「水を張った桶の中に入れておいてくれるかしら。あとは私がやるわ」
「いえ、自分の食器ぐらい自分で洗います」
「えぇ〜!!いいの!?嬉しいわぁ〜!!どうしてウチにはこういう子がいなかったのかしら」
一旦水に浸してから、スポンジを手に取り洗い始めると、女将さんはそれはもう嬉しそうな声を上げる。
その後に、女将さんは私の後ろで呆れながら見ていた樹さんの方を見た。
「・・・俺を見るなよ。てか、そんなことしてっと学校行く準備する時間なくなるぞ」
「大丈夫です。このくらいならすぐ終わりますから」
腕を組みながら私の方を見ている樹さんに振り返りながら答える。
いつもやってることだからテキパキと洗い物を済ませた。
「女将さん、洗い終わった食器はどこに置けばいいですか?」
「水気を切るからそこのカゴの中に入れてもらえるかしら」
「わかりました」
別の作業をしていた女将さんに聞いて洗った食器を言われたカゴの中に入れる。
よし・・・これで洗い物は終わりっと。
「助かったわ〜、ありがとね。・・・えーっと・・・お名前は?」
「あっ、白石芽依です」
「芽依ちゃんね。お手伝いありがとう」
「いえ、いつでも言ってください。大変でしょうから手伝います」
名前を伝えると、嬉しそうにしながらお礼を言う女将さん。
そんな彼女に、優しく笑いかけた。
一連の流れを黙って見ていた樹さんが、私のことを見つめたあと、目を閉じる。
「・・・・・・。おい、部屋戻るぞ。学校に行く準備しろ。時間ねぇぞ」
「あ、はい」
閉じていた目を開け、移動しながら声をかけてくる樹さんに返事をして、彼の後を追いかけた。
だけど、何かを考えるように立ち止まった。
「?どうかしました?」
「・・・・・・なんでもねぇ」
そういうと、私と肩を並べて歩き出す樹さん。
いつも前を歩いていたのに・・・急にどうして?
『ちゃんと隣歩いてやれよー』
さっき、食堂に来る前に矢吹さんに言われたこと、気にしてたのかな?
そんなことを考えながら、歩くスピードを合わせてくれる樹さんのことを見つめた。



