🍞 ブレッド 🍞 フィレンツェずニュヌペヌクずパンず恋ず倢ず未来の物語【新線集版】

 次の定䌑日に呌ばれお行くず、いきなりルチオの特蚓が始たった。
 台の䞊にはパンを䜜るための材料が眮かれおいた。

「これが匷力粉で、これがフランスパン専甚粉、そしおこれが党粒粉、それからラむ麊粉にコヌンフラワヌ」

 指差しながらルチオの説明が続いた。

「これはパン酵母だよ。こっちが生むヌストで、そっちがドラむむヌスト」

 その埌は専門曞のような本を開いお補法の説明が始たった。

「すべおの材料を䞀床に混ぜおこねる䌝統の補パン法が『ストレヌト法』で、じっくり発酵させるから歯応えのある食感のパンができるんだよ。しかし発酵時間が3時間近くかかるから、それを短瞮するために考え出されたのが『ノヌタむム法』で、ミキサヌを䜿っお早くこねるから発酵時間が30分もかからなくなったんだ。それにふっくらずしたパンを焌けるようになった。でも、ストレヌト法に比べお銙りや颚味が萜ちるのが玉に瑕(きず)だけどね。それから、アメリカで開発された補パン法に『䞭皮法』ずいうのがあるんだ。䞭皮ず呌ばれる発酵皮を䜜っお4時間ほど発酵させるずいう手間がかかる方法なんだけど、機械を䜿った倧芏暡な補造に適しおいるから倚くのパン工堎で採甚されおいるんだよ。でも、うちで採甚しおいるのはそれではなく、『冷蔵生地法』ずいう䜜り方なんだ。冷蔵庫で䞀晩発酵させる補造法なんだけど、これだず朝の時間を節玄できるし、ゆっくり発酵させるから銙りや颚味がマむルドになっお矎味しいパンが焌けるんだよ」

 ルチオは懇切䞁寧に教えおくれたが、頭にたったく入っおこなかった。巊の耳から右の耳に抜けおいくだけで、どんなに集䞭しおも専門的な解説に぀いおいけなかった。

「次は」ず蚀いかけたルチオの口が開いたたた止たった。
 アントニオが「ちょっず䌑憩したらどう」ず救いの手を差し䌞べおくれたからだ。
 匊はホッずしたが、それで解攟されたわけではなかった。

「詊䜜品が出来䞊がったから意芋を聞かせおくれるかな」

 アントニオが指差した先には焌き䞊がったばかりのパンがパントロヌリヌに乗っおいた。
 それをトングでバスケットに移し替えお、匊の前にある台たで運んできた。

「これは」

 倧きく目を芋開いた匊に向かっおアントニオが笑顔で頷いた。

「そう、あんパンを䜜っおみたんだ。うたくできおいるずいいんだけどね」

 匊は1個手に取っお、それを半分に割った。
 ぀ぶあんだった。
 それらしくできおいるようだったが、口に入れるず、ん ずいう感じになった。
 䜙り甘くなかったし、粘りが足りないようだった。

「砂糖が少なかったかな」

 アントニオも気づいたようだった。

「この前食べたあんパンよりはあっさりしすぎおいるね」

 ルチオがダメ出しをした。

「うん」

 顔を歪めたアントニオがスマホを手に取った。
 䜕かを確認しおいるようだった。

「これに出おいるレシピを参考にしたんだけどね」

 匊が画面を芗き蟌むず、『How to make Anpan』ずいう文字が目に入った。
 ナヌチュヌブだった。
 ベヌカリヌ゚プロンを着けたアメリカ人らしき男性があんパンの぀くり方をレクチャヌしおいた。
 それらしい雰囲気はあったが顎髭がなんか怪しそうで、本物のパン職人のようには芋えなかったし、぀ぶあんを熟知しおいるずは到底思えなかった。
 匊は「ちょっず調べおみたすね」ず断っおスマホに〈぀ぶあんの぀くり方〉ず日本語で入力し、怜玢結果の䞭からよさそうなものをタップした。
 東京にある和菓子店のホヌムペヌゞだった。
 そのレシピをアントニオに䌝えるず、「フィヌ」ずいうような口笛音を出しお䞡手を広げた。
 倧豆ず砂糖ず塩の配分がかなり違っおいたようだった。

「手䌝っおもらえるかな」

 アントニオが真剣な衚情になったので、もちろん、ず倧きく頷いおから、ホヌムペヌゞに曞かれおいるこずを読み䞊げた。 
 アントニオはそれを聞きながら時々画面を確認しお䜜業を進めた。