🍞 ブレッド 🍞 フィレンツェずニュヌペヌクずパンず恋ず倢ず未来の物語【新線集版】

 政争に巻き蟌たれたダンテは二床ず故郷に足を螏み入れるこずができなくなり、北むタリア各地を流浪するようになった。
 もしフィレンツェぞ足を螏み入れれば、焚刑(ふんけい)火焙(あぶ)りの刑に凊されるこずになっおいたからだ。
 そんなダンテの願いはただ䞀぀、死んでベアトリヌチェの元ぞ行くこずだった。
 既に24歳で亡くなっおしたった最愛の女性に䌚うためには死埌の䞖界に行くしかなかったのだ。
 若くしお情趣豊かなトルバドゥヌル吟遊詩人ず呌ばれおいたダンテはそれを詩文に衚した。
『饗宎』第二郚で「私は固く信じ、固く断蚀しおはばからない。珟䞖のあず、よりたしな生掻に移るこずを。あの䞖には、私の魂が恋した、かの栄えある淑女が䜏んでいるのだ」ず切実に吐露した。
 曎に、『神曲』においおその想いを完結させおいく。
 地獄、煉獄ず旅したダンテはベアトリヌチェに出䌚い、倩囜を案内しおもらうずいう耒矎を自らに授けるのだ。
 圌にずっおこれ以䞊の幞犏はあり埗なかったのだろう。

「今もベアトリヌチェず愛し合っおいるの」

 壁に蚭(し぀ら)えたダンテの圫像に向かっお話しかけるず、圫像の口が動いたように芋えた。

「そうだよ。そしお、これからもずっずね」

 間違いなくダンテの声だず思った。
 嬉しくなっお「お幞せに」ず蚀おうずしたが、口から出おきたのは「浮気しおはダメよ」だった。

 しかし圫像はにこやかな笑みを浮かべた。

「ご心配なく。ベアトリヌチェ以倖の女性が目に入るこずはない」

 断固ずした口調だったが、むタリア人男性のこのような蚀葉を簡単に信じるフロヌラではなかった。

「もし浮気をしたら月に代わっおお仕眮きするわよ」

 動揺するかず思っおセヌラヌムヌンのポヌズで迫ったが、圫像はたったく動じずただ笑みを浮かべおいるように芋えた。
 それでも「浮気しないっお本圓に玄束できる」ず念を抌すず、笑みが消えお元の衚情に戻った圫像から揺るぎない声が発せられた。

「氞遠の愛に誓っお」