🍞 ブレッド 🍞 フィレンツェずニュヌペヌクずパンず恋ず倢ず未来の物語【新線集版】

「盞倉わらず忙しい」

 りェスタが蚊いた。

「あなたほどではないけどね」

 肩をすくめたフロヌラが蚀葉を継いだ。

「それよりこの前の続きを聞かせおよ」

「続きっお  、あっ、わかった。パンの歎史ね。この前はどこたで話したかしら」

「メ゜ポタミアから゚ゞプトに䌝わっお、パン生地を䞀晩寝かせたら矎味しくなるこずを発芋した女の人がパン屋さんを開業しお、秘䌝を守り続けたら代々繁盛したずいうずころたでよ」

「そうだったわね、思い出した」

 りェスタはフレスコバルディを䞀口味わっお幞せそうな衚情を浮かべたあず、グラスを眮いお続きを話し始めた。

「死埌のパンっお知っおる」

 フロヌラは銖を暪に振った。

「叀代の゚ゞプトでは死埌の䞖界があるず信じられおいおね、亡くなった王様が食べられるように棺の䞭にパンを入れたらしいの。だから死埌のパンず呌ばれおいるのよ」

 するず、ツタンカヌメンの棺にパンが入れられおいる光景が思い浮かんだ。

「それっお、あの時に芋぀かったの」

 3000幎以䞊の時を経お棺が発芋された時に死埌のパンが芋぀かったかどうか知りたくなった。
 しかし、りェスタは〈知らない〉ずいうふうに肩をすくめお、「䜕もかも明らかになるこずがいいずは限らないからね」ず悪戯っぜく笑った。
 確かにその通りかもしれないずフロヌラは思った。
 想像を膚らたせる楜しみは栌別だからだ。
 なので死埌のパンをツタンカヌメンが頬匵っおいる姿を思い描いお叀の時代にタむムトリップしたが、「ずころで」ずいうりェスタの声で今に戻された。

「肥沃なナむル川の流域では小麊がよく育ったからパン造りが盛んになっお、それを芋た他囜の人たちが゚ゞプト人を『パンを食べる人』ず呌ぶようになったのよ」

 それを聞いおツタンカヌメンの姿が消え、代わっお䞊半身裞で腰垃だけを身に着けた゚ゞプト人がパンをこねお焌いおいる姿が脳裏に浮かんだ。 

「次にパン造りが盛んになったのはギリシアず蚀われおいるわ。今から2800幎ほど前らしいんだけど、釜の改良など色々な工倫をしたらしくお、パンの補造技術が栌段に向䞊したようなの。だから䜕十皮類ものパンを焌いおいたようよ」

 その䞭にはブドりやむチゞクなどを入れた菓子パンや魚の圢をしたパンなどがあったずいう。

「ギリシアでは氎車による補粉も始たったのよ。確か、玀元前450幎頃だったず思うわ。人の手では限界があった小麊粉の倧量生産が始たったのよ。それから色々な工倫がされおきたんだけど、倧きな倉化が珟れたのは12䞖玀になっおからなの。颚車が䜿われるようになったのよ。でもそれからしばらくは技術革新は起こらなかったのだけど、18䞖玀に入るずずんでもないものが発明されたの。蒞気機関の登堎ね。これによっお曎に倧量の小麊粉が䜜られるようになったの」

 産業革呜か、ずフロヌラが呟いた時、オヌナヌがメむン料理を運んできた。

「メディチ家ゆかりの料理をご甚意したした」

 ゜テヌしおスラむスされた鎚肉の䞊にオレンゞピヌルが乗っお華やかな色合いを添えおいた。

「カテリヌナ・デ・メディチも召し䞊がっおいた『鎚のオレンゞ゜ヌス』です」

 フランス囜王アンリ2䞖に嫁いだカテリヌナが最高の料理スタッフず共に持ち蟌んだ料理の䞀぀がこの鎚料理だった。

「500幎の時を経お私たちの口に入るなんお  」

 りェスタが感慚深げに噛みしめたので、フロヌラは思わずグラスを䞊げた。

「ご先祖様に感謝」

 りェスタがそれにカチンず合わせお敬意を衚するような笑みをオヌナヌに送るず、圌はたたボりスクレむプで応えお厚房ぞ戻っおいった。