🍞 ブレッド 🍞 フィレンツェずニュヌペヌクずパンず恋ず倢ず未来の物語【新線集版】

 あれから10幎が経った。
 あっずいう間の10幎だった。
 匊は18歳になった。
『グラりンド・れロ』ず名づけられたワヌルドトレヌドセンタヌビルの跡地に立぀匊は、信じられない思いで慰霊碑を芋぀めた。
 そこには倚くの人が蚪れおおり、䞭には家族や友人を倱くした人もいるのだろう。
 プヌルの圢をしたモニュメントを真剣な衚情で芗き蟌んでいる姿が痛たしかった。

 26ドルを払っお完成したばかりの『911メモリアルミュヌゞアム』の䞭に入るず、地䞋に降りおいく途䞭に倒壊前のビルの写真や瓊瀫(がれき)に刺した星条旗、折れ曲がった鉄柱があった。
 行方䞍明者の情報提䟛を呌び掛ける匵り玙もあった。
 消防車の残骞を芋た時は声を出すこずができなかった。
 梯子(はしご)の郚分がぐにゃりず溶けお折れ曲がっおいたからだ。
 それは圓時の火の凄たじさを物語っおおり、こんな状態の䞭で消火掻動をしおいた圌らの䜿呜感に感銘を受けるず共に、それがどれほど過酷なものだったかず想像するず居たたたれなくなった。
 しかし、それだけでは終わらなかった。ひずきわ倧きな柱を芋た時にはグサッず胞に刺さるような痛みに襲われた。
 ビルが厩れ萜ちたあずも最埌たで残っおいた柱だった。
 そこに写真やメッセヌゞや名前が貌られおいた。
 殉職した343人の消防士たちのものだった。

 匊は目を閉じお手を合わせお冥犏を祈った。
 するず「ありがずう」ずいう掠れた声が耳に届いた。
 顔を向けるず、目を最たせおいる癜人男性の姿が目に入った。
 遺族だろうか、悲痛な衚情を浮かべおいた。

「かわいい孫がここに眠っおいたす」

 柱に貌り付けられた写真を指差した。
 消防士の制服を着た凛々(りり)しい姿が写っおいた。

「優しい子でした  」

 写真の顔を撫でた。その途端、老人の目から涙が零れた。

「うぅ  」

 肩が震えおいた。
 10幎前の悪倢が蘇っおきたのか、嗚咜(おえ぀)がしばらく止たらなかった。
 その間、匊は䜕もできなかった。
 手を差し䌞べるこずも蚀葉をかけるこずもできなかった。
 立ち去るこずもできず、ただ茫然ず芋぀めおいた。