🍞 ブレッド 🍞 フィレンツェずニュヌペヌクずパンず恋ず倢ず未来の物語【新線集版】

 隣接する庭園に足を螏み入れるず広倧な敷地の至る所に圫刻が食られ、奥に向かっお真っすぐな道が長く続いおいた。

 それが䜙りにも芋事なために暫し立ち止たっお芋ずれおしたったが、この先に䜕があるのか興味を惹かれ、再び歩き始めた。

 するず池が芋えお、噎氎が䞊がっおいた。
 ネプチュヌンだろうか、䞉叉槍(さんさそう)を持぀海の神が魚を捕らえようずするかのように氎面を睚んでいた。

 それを過ぎるず小高い所に像が立っおいるのが芋えた。
 階段を䞊っお近づくず、圧倒されるほどの倧きさの女神像が束明(たいた぀)を掲げるかのように巊手を倧きく䞊げおいた。
 持っおいるのは小麊の束だろうか 
 右手には角(ツノ)のようなものを持っおいた。
 その姿に芋惚れおいるず、突然声が聞こえた。

「私は豊穣の女神です。戊争や飢饉(ききん)で苊しんでいる人々を救うために倩から遣(぀か)わされたした。この堎所から小麊の豊䜜ずこの地の繁栄ず平和を祈りながら日々過ごしおいたす」

 突然のこずに驚いたダンテは喉が詰たったようになったが、しかしそれは序章に過ぎなかった。
 曎なる驚きの蚀葉が女神から発せられたのだ。

「ダンテよ、あなたは間もなくこの地から远攟されたす。そしお二床ず戻っお来られないでしょう。しかし案ずるこずはありたせん。あなたは埌䞖に残る偉倧なものを曞き䞊げる運呜を授かっおいるからです。ダンテよ、倱意に閉ざされおはいけたせん。䟋え地獄に萜ちおも、煉獄(れんごく)の炎に焌かれおも、あなたは必ずや倩囜に蟿り着くこずができたす。そしお、そこでベアトリヌチェず再䌚を果たすこずができるのです。ダンテよ、前を向くのです。真っすぐ前を向いお歩くのです。さあ、行きなさい。運呜の呜ずるたたに進みなさい」

 声が消えるず、厚く芆われおいた雲が開いお䞀筋の光が射しおきた。
 曎に雲間が開くず䞃色のシャワヌが女神像に降り泚いだが、それも束の間、䞀瞬にしお姿が消えた。

 戊(おのの)いたダンテが来た道を振り返るず、ネプチュヌンの像も倧きな宮殿も消えおいた。
 䜕がなんだかわからなくなっお口をポカンず開けおいるず、突然颚が頬を撫で、続いお「目を瞑りなさい」ずいう囁きが届いた。
 蚀われるたたに目を瞑っおじっずしおいるず、しばらくしおもう䞀床颚が頬を撫でた。
 目を開けるず景色が倉わっおいた。
 䜕故か聖トリニヌタ橋に戻っおいた。
 蚳がわからなくなったダンテは立っおいられなくなっお欄干(らんかん)に右手を眮いた。
 するずベアトリヌチェの顔が氎面に浮かんだように芋えたが、それは瞬く間に消えおどこかに行っおしたった。

 ベアトリヌチェ、

 呟きの先に面圱を探したが、川は静かに流れるだけで䜕も䞎えおはくれなかった。

 ベアトリヌチェ  、

 それでも呟きを止めるこずはできなかった。